グリスは塗らずに載せるもの。

今回は実際にオーバーホールした作業の感じをご紹介。

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オーバーホール(OVERHAUL)
“機械製品を部品単位まで分解して清掃・再組み立てを行い、新品時の性能状態に戻す作業のことである”
通常の点検作業では出来ない清掃作業や劣化部品の交換、調整を主目的とする”

「通常点検では出来ない部分の点検、リフレッシュ、交換をともなう全体分解と組み上げ」
のことをオーバーホールって呼ぶ感じですね。
”分解”をどこまでやるか、お客さんがどこまで望んでいるか見合った料金はいくらか
その上に、作業工程で発生する追加作業、交換部品はどーするのか、新品交換か、修理対応か。
など、お客さんと密に連携をとって、車両を出来る限り万全な状態にもっていく。
そんなメカニックとお客さんのチームワークが必要な作業だったりします。

そもそも、オーバーホールを依頼してくれるお客さんはピストを乗り込んでいる方ばかりなので
大体がいわゆる常連さんや、馴染みどころ、「毎度です!」な感じの方々。
その人がどんな使い方をするのかなどは何となくわかっていたりしますが、
オーバーホールを進めるのには”お客さんと自転車の関係性を知る”ことはとても重要な部分です。
雨でも乗るのか、通勤通学なのか、休日用なのか、日常どれくらい走るのか、
飛ばすのか、のんびりか、スキッドするのか、自分でメンテナンスとかするのかなどなど。
そんな会話の中で、作業内容、交換部品などのメニューを大まかに組み立てていきます。
もちろん作業の過程で、ダメな部分やこうしたらもっと良くなる!みたいな部分があったら
その都度相談して部品の提案なんかをしていきます。
なので大体僕がお預かりすると1週間は掛かっちゃいます。

たぶん担当するメカニックによって、色んなオーバーホールをすると思います。
”オーバーホールはこうやりましょう”みたいなのが、今のところ明確にはないので、他のメカがどんな作業をするのかが楽しみで気になりますし、心配で不安だったりもします。
ただ、オーバーホールに注ぎ込んでいる情熱は作業を紹介する中で見えてくるかなと思います。

では早速。全〜部のパーツをテキパキと外して各部チェック。
各部分の汚れ具合や、状態をチェックしたらまずは洗浄スタートです。

このあたりもだいぶ古いグリスがべったりしているので、クリーナーで洗浄。

ひゃっほーい!!てな感じで、

スペシャブレンドの洗浄剤を吹きかけます。
汚れは落とす、ペイントや金属は傷めない、そんな洗浄剤をつかってるので大胆にぶっかけます。
実際に拭きながら、フレームのキズやペイント、へこみとか割れなんかがないか見ていきます。
全部分解すると掃除はめっちゃ楽しいです。

ただ洗浄しただけだと、簡単に汚れを呼んじゃうので手軽なコーティングもします。

シュワシュワの泡を塗り込んで、拭き上げ、塗り込んでは拭き上げ、を繰り返していきます。

上手にできました。笑
色々な手軽に使えるスプレータイプのコーティング剤が出てますが、
マットカラーに使える、傷がつきにくいなど、自転車に向きに機能を選ぶといいと思います。

ど真ん中のペイントが思いきり飛んでますが、ココまで剥がれると再塗装しないとですね。
ステッカーとかで隠すのもピストっぽくて個人的にはアリです。

自転車の心臓を支える部分は

より一層、キレイに仕上げます。
ネジ山は再タッピング、必要があればフェイシングもやり直します。
フェイスにペイントが少し残っていますが、2/3程フェイスが出ていればOK。
キレイにフェイスを処理したとしても、BBのシェル幅が既定値を下回るのであればやらないのが吉です。


ヘッドパーツ、シートクランプ、ボルト関係、分解できるところは全部バラします。
もちろん組み戻しのときには、しっかりとグリスアップ。
必要があれば無理せず容赦なく交換します。

今回はオーバーホールついでにクランクをダイレクトからNJSに変更するので

交換先のベアリングをしっかり洗浄、脱脂。
BROTURES OSAKA特製、灯油風呂。これができると出来ないとでは全然違います。


シャフトはしっかりグリスアップしてあればそんなにダメージを受けませんが
クランクとの嵌合(はめあい)、ベアリングの接点など、ポイントポイントをしっかりチェック。


クランク側の嵌合、ペダルのネジ山もしっかり見ていきます。
ストラップやクリップとのスレ傷は走ってきた証みたいなもんです。
傷がどうしても気になる方は再塗装や、再アルマイトなどで見た目は新品同様まで戻せたりもしますよ。


ネジ山が怪しい感じだったので、チェックもかねてタッピングします。


チェーンリングとの接点は、汚れが挟まったりしているとせっかくのNJSパーツでも精度が出ません。
掃除、洗浄は手を抜かず徹底的に行います。


今回の新品交換はここだけ。
ウォーターシースーは、BB内に水や汚れ、ゴミやサビなどの侵入を防ぐ大事なパーツ。
分解すると付いていないピストをたまーに見かけますが、
BBの回転をスムーズに維持するなら付けないとか外すとか信じられません。


組み付ける部分で、グリスの種類を変えたりはもちろんですが、
オイルで組み付けたり、ロック剤を仕込んだり、シールテープを噛ませたり
乗り手の事情に合わせて、メンテ性重視、防水重視、回転重視など。
効果高めるための味付けを施します。


いい感じ。


ヘッドパーツはとても雨水や汚れが侵入しやすい部分なので
グリスは「塗る」とかしません。
フレーム側の当たり面にはしっかりと「載せる」
ベアリングには「詰め込む」「載せる」というイメージでグリスアップします。
もしレース等でクルンクルンに回るヘッドがお望みであれば、そのようにも設定しますが
基本的に街乗りで使うのであれば、この組付け方が基本になります。

ベアリングを当てると、もちろん

ぶに〜っとグリスがハミ出して来ますが、防水するならコレで正解だと思います。
サビ防止の意味はもちろんですが、そもそもの原因の侵入を防ぐことが大事。
はみ出たグリスは汚れを拾うだけなので、しっかりと拭き取ります。

パッと見は中の様子なんてわかりませんが、ヘッド周りの防水はこれだけでかなり違います。
ヘッドパーツの構造で、シール性が高いもの、低いものはありますが、
組み付け方ひとつで、性能が低くてもしっかり防水できるし、
せっかくの高級パーツも1年待たずにサビさせる結果になったりします。

この後は、同様に洗浄・点検したパーツを丁寧に組み上げて完成です。


つらつらと説明した感じになってしまいましたが、どんな感じで、どんな考えでオーバーホールって作業をしているのかが少しでも感じ取ってもらえたなら嬉しいです。